関節症センター
Keijin-kai Kawasaki Hospital Bone and Joint Research Center

私の人工膝関節置換術
〜最小限のダメージで、最大限の機能獲得を目指す〜

関節症センター長  浅山 勲

 久留米大学と福岡大学などで研究・開発・蓄積されてきたノウハウに、私がジョージア大学で学んだ知識と経験も加味して、患者さんにあった最良の治療を選択・提供できると考えています。関節の病気は、適切な時期に適切な治療を必要とします。膝関節の痛みに困っておられる方、私たちに相談して下さい。

はじめに
 およそ500万年前に人類の祖先が二足起立歩行を始めたときから、ヒトの膝には広い関節可動域と非常に大きな負荷を支えるための安定性が必要となり、これに順応した器官として進化してきました。近年、ヒトの寿命は飛躍的な伸びを示しています。物質的な豊かさの恩恵のため肥満社会となり、必然的に、変形性膝関節症が発症することとなりましたが、ヒトの進化はこれに適応するには至っていないようです。整形外科外来に訪れる方々で変形性関節症が占める割合は、年々増加してきている状態です。

変形性膝関節症とその治療
 変形性膝関節症では、関節軟骨の摩耗や骨の変形だけではなく、関節の不安定性が痛みの大きさに影響していることが指摘されています。ですから、お薬や注射、時には手術も含めて、いかなる治療方法を用いて痛みを押さえ込んだとしても、膝周囲の筋力強化リハビリを継続して行うことができなければ、本当の意味で関節の安定性を獲得することができず、機能的に欠陥のある膝になってしまいます。膝周囲の筋力強化リハビリを継続して行っていくこと“継続は力なり“が最も重要なポイントなのです。膝関節は、膝蓋骨と大腿骨、そして脛骨という3つの骨からなり、3つの関節面を持っている人体の中でも非常に特殊な形状をしている関節の一つです。この3つの関節面のうち、2つ以上の面に軟骨の摩耗や骨破壊といった問題、つまり関節症が生じた場合に人工膝関節置換術の適応となります。人工膝関節は、今日までの研究開発の結果、比較的安全に長期間にわたって使用可能な耐久性にすぐれたインプラントとして確立されてきています。その優れた臨床結果から、近年では比較的若年の方にも適用されるようになってきました。今のところ、傷んでしまった関節機能を獲得するための最も有用な手だての一つと言うことが出来ます。

私の人工膝関節置換術
 私が行っている人工膝関節置換術の手術方法は、Georgia大学留学中にMahoney先生から直接指導・教授いただいた方法で、主に2つの重要なコンセプトから成り立っています。1つ目は、手術の際の関節の展開方法です。私が行っている方法はSub-Vastus approachといって、膝の安定性や伸展運動に最も重要な役割を担っている大腿四頭筋へのダメージを最小限にした展開方法です。実際に、手術を受けられたその日のうちに、脚を上げたり下げたりできる患者さんもいらっしゃいます。2つ目は、インプラント(人工関節)の設置方法です。私が行っている方法は、手術を受ける方が元来持っている膝の状態に合わせてインプラントを設置する方法(Ligament Dependent Cut Technique)なので、手術後のインプラントへの負担が少なく、手術をうけた膝がインプラントの機能を最大限に発揮しやすいように工夫されています。この方法は、実は古典的な手術方法なのですが、このコンセプトの重要性は最近になって見直されてきています。私はこのように、術後のよりよい関節機能の獲得を目指して、手術を受けられる方の状態に応じた手術方法を選択して行っています。

浅山 勲
医学博士、日本整形外科学会専門医。日本整形外科学会認定スポーツ医。
1995年福岡大学医学部卒業、整形外科学教室に入局。福岡大学病院、川崎病院などで研修後、1998-2002年福岡大学病院・大学院(病態機能系関節機能学)で股関節外科の診療・臨床研究。2002年第4回欧米加日整形外科基礎学術集会・新人賞。2002-2004年、ジョージア大学(人間健康科学部・バイオメカニクス研究室)、アセンズ整形外科、St.マリー病院・人工関節センター(Dr. OM.Mahoney教授指導のもと800件の人工関節手術を経験)留学。


変形性膝関節症術前の左膝関節X線写真
正面像
側面像


人工膝関節置換術術後の左膝関節X線写真
正面像
側面像